これら鍵管理の前提条件を緩和できる画期的な暗号方式が、1976年に米国スタンフォード大学のDiffe及びHellmanによって提案された公開鍵暗号方式の概念である。公開鍵暗号方式は、暗号化と復号化で用いる鍵が異なる。送信者は受信者固有の公開鍵で暗号化し、受信者は暗号文を公開鍵に対応した秘密鍵により復号化する。このように公開鍵暗号方式では、復号化するときに必要な鍵のみを秘密にしておけばよいため、秘密鍵暗号方式に比較して鍵の扱いが簡便になる。しかし、暗号の処理速度が遅いというのが公開鍵暗号方式の欠点である。代表的な公開鍵暗号方式としてはRSA(R.Rivest、A.Shamir、L.Adlemanの3名によって考案された公開鍵暗号化アルゴリズム)がある。