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号方式の提案以来、学問的にも大いに発展し、情報通信サービスのセキュリティなど商用分野での応用が広がりつつある。

?@ 暗号方式の分類

暗号方式は、鍵の運用法の違いにより秘密鍵暗号方式と公開鍵暗号方式の二種類に分類できる。秘密鍵暗号方式は、暗号化と復号化に同一の秘密鍵を用いる方式であり、古くから用いられてきた暗号はこの方式に属する。秘密鍵暗号方式は高速に暗号計算が行われるため、大量データを扱う通信メッセージやファイルの暗号化に一般的に用いられている。

秘密鍵暗号方式では、送信者と受信者の間で如何にして鍵を安全に配送するかが重要な課題となる。更に、通信相手毎に別々の秘密鍵を保持する必要があるという前提条件がある。

これら鍵管理の前提条件を緩和できる画期的な暗号方式が、1976年に米国スタンフォード大学のDiffe及びHellmanによって提案された公開鍵暗号方式の概念である。公開鍵暗号方式は、暗号化と復号化で用いる鍵が異なる。送信者は受信者固有の公開鍵で暗号化し、受信者は暗号文を公開鍵に対応した秘密鍵により復号化する。このように公開鍵暗号方式では、復号化するときに必要な鍵のみを秘密にしておけばよいため、秘密鍵暗号方式に比較して鍵の扱いが簡便になる。しかし、暗号の処理速度が遅いというのが公開鍵暗号方式の欠点である。代表的な公開鍵暗号方式としてはRSA(R.Rivest、A.Shamir、L.Adlemanの3名によって考案された公開鍵暗号化アルゴリズム)がある。

実際の暗号通信では、データ量が大きい通信メッセージは高速な秘密鍵暗号方式で暗号化し、暗号化に用いる秘密鍵(データ量が小さい)だけを公開鍵暗号で暗号化して送るというハイブリッド方式が一般的に多く用いられている。なお、現在商用化されている暗号方式の特徴は、上記に述べた秘密鍵さえ知らなければ、暗号化のメカニズム(暗号アルゴリズム)を公開しても暗号文が解読されないように工夫されていることである。暗号アルゴリズムを公開することで、暗号の安全性について暗号研究者らによる評価が可能になり、アウトソーシングによりプログラム化/ハードウェア化が可能となることから、商用暗号系として普及する。

?A 電子印鑑

一方のみが秘密の鍵を保有し、その鍵に対応する公開鍵を他者が知ることができ

 

 

 

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